賀屋興宣

かや おきのり(Okinori Kaya) A級

1889年1月30日 – 1977年4月28日 /広島県 /政治・官界

賀屋興宣(1889–1977)は、大蔵官僚出身の政治家。近衛文麿内閣と東條英機内閣で大蔵大臣を務め、戦時の財政・経済を担った。[1]

東京裁判でA級戦犯として終身刑を受けたが、1955年に巣鴨から仮釈放され、その後赦免された。1958年に衆議院議員として政界に復帰し、池田勇人内閣で法務大臣を務めた。[1]

反共主義の立場から日米関係の強化を唱え、岸信介の側近としても知られた。[1][2]

戦犯としての位置づけ

区分
A級戦犯
処遇
有罪(終身刑)・服役後に仮釈放
巣鴨収容
1945年
釈放
1955年

東京裁判で、平和に対する罪(共同謀議)や侵略戦争の遂行などにより有罪とされ、終身刑を言い渡された。[1][2]

巣鴨で服役したのち、1955年に仮釈放され、その後赦免された。岸信介・児玉誉士夫らの「不起訴・釈放」とは異なり、有罪判決を受けて服役した点が異なる。[1][2]

戦前の経歴

  • 1917– 大蔵省に入省し、主計局長・理財局長などを歴任、1937年に大蔵次官を経て政策の中枢を担った。[1]
  • 1937 第一次近衛文麿内閣の大蔵大臣に就任した。[1]
  • 1941–1944 東條英機内閣の大蔵大臣として、戦時の財政・経済を担った。[1]

釈放後の歩み

  1. 1955

    巣鴨拘置所から仮釈放された(のち赦免)。[1]

  2. 1958

    東京の選挙区から衆議院議員に当選して政界に復帰し、自由民主党の有力者となった。党の治安関連の委員会にも加わった。[1][2]

  3. 1959

    反共主義の立場から日米関係の強化を唱え、2月には訪米してCIA長官アレン・ダレスと会談し、CIAと自民党の治安委員会との情報協力を求めた。[2]

  4. 1963–1964

    第2次・第3次池田勇人内閣の法務大臣を務めた。[1]

  5. 1965

    政界を引退し、日本遺族会の会長などを務めた。[1]

戦後日本への影響

戦時の財政責任者から、戦後は法務大臣・自民党の有力政治家として復帰し、岸信介の側近として保守・反共路線に影響を与えた。[1][2]

米国立公文書館の研究(IWG報告)によれば、CIA長官ダレスは1959年に賀屋を情報源として育てようとし秘密指定の書簡を送ったが、現地のCIA要員は1960年までに賀屋を「評判ほど有力ではなく、むしろ負担になりかねない」と評価し、関係の深化に慎重になったという。[2]

関わった人物

  • 岸信介 ― 岸信介の最も信頼する側近の一人とされた。ともに戦時の要職から戦後政治に復帰した。[2]

写真

大蔵大臣時代の賀屋興宣(1937年、衆議院本会議での答弁)
大蔵大臣時代の賀屋興宣(1937年、衆議院本会議での答弁)
出典:『銃後の財政経済』(1937)/Wikimedia Commons(パブリックドメイン(PD-Japan-oldphoto)) 原本

出典

本文中の [番号] は下記の出典に対応します。区分: 一次資料=公文書等/学術=論文・研究書/報道/一般書

  1. [1]
    一般書 コトバンク「賀屋興宣」(20世紀日本人名事典ほか) (コトバンク) リンク
    生没年・大蔵官僚としての経歴・近衛/東條内閣の大蔵大臣・A級戦犯で終身刑・1955年仮釈放・1958年衆院当選・池田内閣の法務大臣・日本遺族会会長の記載を確認
  2. [2]
    学術 The Intelligence That Wasn't: CIA Name Files, the U.S. Army, and Intelligence Gathering in Occupied Japan(『Researching Japanese War Crimes Records: Introductory Essays』所収) /Michael Petersen (米国立公文書館 省庁間作業部会(NARA / IWG) 2006) リンク
    機密解除文書に基づき、賀屋が1959年2月6日にCIA長官ダレスと会談したこと、CIAが当初は情報源として期待したが後に『負担になりかねない』と評価を下げたこと、岸信介の側近であったことを記述

最終確認日:2026-07-09

本サイトは、巣鴨拘置所(巣鴨プリズン)に収容され、その後釈放された戦争犯罪人が、戦後日本の政治・経済に どのように関わったかを、一次資料と学術文献に基づいて客観的に記録する非営利の資料サイトです。 各記述には出典を明示し、一次資料・学術資料で裏付けられない事項は断定を避けています。

人物名鑑 出典方針・免責