逆コース ― 復権を可能にした占領政策の転換
非軍事化・民主化から、冷戦下の反共政策へ。1948年前後に始まる占領政策の転換と、それに続く公職追放の解除が、巣鴨を出た人々が政治・経済の中枢へ戻る道を開いた。ただし「逆コース」という枠組み自体にも議論がある。
言葉の由来
1948年 ― 占領政策の転換
反共政策の具体化
公職追放の解除 ― 復権の実務
公職追放は、1946年1月のGHQ覚書(SCAPIN550)に基づいて始まり、戦争犯罪人・職業軍人・極端な国家主義者など7項目に該当する者が対象とされた。[4]
追放処分を受けた者は1948年5月現在で約20万名にのぼり、第1次・第2次を通じて20万1815名が公職から罷免・排除された。[5]
その後、1951年11月までに17万5000余名の追放が解除され、1952年、講和条約の発効とともに追放令は廃止された。[5]
巣鴨を出た人々が政界・財界・言論界へ復帰できたのは、この解除によるところが大きい。岸信介は1952年に追放を解除され、翌1953年に衆議院議員となっている。[6]
1947年に釈放された正力松太郎も、その後は追放が続いたが、1952年に日本テレビ放送網を創立し、1955年には衆議院議員に当選した。[7]
「逆コース」という見方をめぐって
もっとも、「逆コース」という枠組みは占領期を単純化した図式ではないか、という問題提起も歴史研究の側からなされている。時期区分や因果関係の捉え方には議論があり、本サイトはこの語を、当時から用いられてきた同時代的な呼称として扱う。[8] 諸説あり
この記事に登場する人物
出典
本文中の [番号] は下記の出典に対応します。区分: 一次資料=公文書等/学術=論文・研究書/報道/一般書。
- [1] 一般書 コトバンク「逆コース」(改訂新版 世界大百科事典/日本大百科全書ほか) (平凡社・小学館/コトバンク) リンク読売新聞が1951年11月2日~12月2日に「逆コース」として連載したこと、警察予備隊(1950)・保安隊(1952)・自衛隊(1954)・破壊活動防止法と公安調査庁(1952年7月)・レッドパージ・公職追放解除の記載を確認
- [2] 学術 史料にみる日本の近代「5-10 占領政策の転換」 (国立国会図書館) リンク1948年3月のケナン来日とマッカーサーとの会談、同年10月7日の NSC13/2「アメリカの対日政策に関する勧告」採択、およびその内容(沖縄の長期支配・横須賀基地拡張・国内警察力の強化・非懲罰的講和・旧政財界人の公職復帰)を確認
- [3] 学術 史料にみる日本の近代「5-12 レッドパージ」 (国立国会図書館) 史料=Douglas MacArthur's Letter to Prime Minister(1950年6月6日付)/『官報』第58号 リンク1950年6月6日のマッカーサー書翰による日本共産党中央委員24名の公職追放指令と、民間・官公庁への拡大を確認
- [4] 学術 史料にみる日本の近代「5-7 公職追放」 (国立国会図書館) 史料=SCAPIN550「Removal and Exclusion of Undesirable Personnel from Public Office」(1946年1月4日) リンク昭和21(1946)年1月4日のGHQ覚書と、戦争犯罪人・職業軍人・極端な国家主義者など7項目の対象区分を確認
- [5] 一般書 コトバンク「公職追放」(改訂新版 世界大百科事典/百科事典マイペディアほか) (平凡社・日立ソリューションズ/コトバンク) リンク1948年5月現在で約20万名、第1次・第2次を通じて20万1815名の罷免・排除、1951年11月までに17万5000余名の解除、1952年の追放令廃止を確認
- [6] 学術 近代日本人の肖像「岸信介」 (国立国会図書館) Portraits of Modern Japanese Historical Figures リンク1952年の公職追放解除と1953年の衆議院議員当選を確認。本サイト「岸信介」のページと同一の出典
- [7] 一般書 コトバンク「正力松太郎」(日本大百科全書ほか) (コトバンク) リンク1947年の不起訴釈放(公職追放は継続)、1952年の日本テレビ放送網創立、1955年の衆議院議員当選を確認。本サイト「正力松太郎」のページと同一の出典
- [8] 学術 「逆コース」という神話 ― 松本清張『日本の黒い霧』と占領史観の問題 /佐藤一 (『環 ― 歴史・環境・文明』22号(藤原書店) 2005) p.195–205 リンク特集「占領期再考 ―『占領』か『解放』か」所収。「逆コース」という占領史観の枠組み自体を問い直す論考。書誌情報は国立国会図書館サーチで確認(本文未読のため、論旨の詳細な引用は行っていない)
最終確認日:2026-07-29